G1 Climax29も半分以上を消化して、新日本プロレスを象徴する二人のリーダーの明暗がくっきり分かれた。
Aブロックを5勝0敗、勝ち点10で独走しているオカダ選手。
Bブロックで2勝3敗、勝ち点4で自力優勝決定戦進出は無理になっている内藤選手。
NEW JAPAN CUPを制覇して、MSGでのメインイベント、さらにはIWGPヘビー級王座とノリ乗っているオカダ選手。
結果こそ振るっていないが会場人気は今だ圧倒的なNo.1で現IWGPインターコンチネンタル王座の内藤選手。
どちらも2019年現在の新日本プロレスのトップで甲乙付け難く、どっちが好きかはあとは好みというしかない。
まぁここまで内藤選手がボロボロの星取表になるとは予想していなかった。
タイチ選手が言ったが「内藤ボロボロ」と身体のことを言っていたが星取表までとは。。。
ただ私個人として全くショックを受けていない。
内藤選手が3敗してるけど、全く焦っていない。
確かに星取表をみると絶望だし、数値的な根拠は全くない。
しかし俯瞰で見たり先のことを考えたりすると、むしろここからどのように巻き返すのか?のワクワクの方が圧倒的に強い。
奇跡を信じましょう!とか言う気はない。当然のことが起こるかと。
— エル・ジャンゴ@G1全部行くマン (@El_Djang0) July 29, 2019
というのも、オカダ選手と内藤選手は求められるものが違うと考えている。
どちらも新日本プロレスのトップでありリーダーでもある。
確かに棚橋選手、ジェイ選手、飯伏選手も合わせた5本柱体制の一角を担う。
ただ団体のリーダーはオカダ・カズチカ、内藤哲也だ。
二人のリーダー像について説明しておこう。
ビジョンを見せて引っ張っていくリーダーがオカダ・カズチカ
ビジョンを見せて引っ張ていく、オカダ・カズチカのリーダー像だ。
2016年のイッテンヨンで棚橋選手から勝利したことで、団体を引っ張っていくという意思が固まり、強さに厚みや深みが出てきたのは素人目から見ても一皮むけたことが分かる。
さらに2018年の外道選手からの卒業で、自らの意思を発信するスキルも身に付けた。2018年G1 ClimaxからRoad to Tokyo Domeまでは俗にいう風船期という迷走状態だった。
だが、今となってはあの迷走があったからこそ、MSGで絶対チャンピオンになり、誰も異論を唱えない新日本プロレスの顔になったのだろう。
本題に入ろう。
オカダ選手は常に新日本プロレスは「世界一の団体」というビジョンをファン・所属選手に見せて、WWEを超えるという意思をメッセージにしている。
それは4.6 MSG の G1 Super Cardでのコメントでしっかりとファンに届いたことだ。
オカダ「まずはマディソン・スクエア・ガーデンの感想を言いたいところですが…ジェイ・ホワイト、強かった。さすがIWGPヘビー級チャンピオン。本当に強かったし、この負けはジェイ、プラスになるから。またジェイも若いし、これから何回も闘う相手になると思いますけども、しっかり倒していきたいなと。いい対戦相手ができました。ありがとうございました。そしてマディソン・スクエア・ガーデンの感想といかせてもらうと、入場して見た景色っていうのはスゴかった。また東京ドームとは違う景色だと思うし、あの景色を見れるのができるのは、本当に世界中の限られた人間だと思います。本当に素晴らしい会場、素晴らしいお客さん、最高の思い出ができましたし。これで終わりじゃなく、また戻って来たい。最高でした。本当に、これだけのお客さんが入ったら、日本のプロレスの力っていうのを見せることができたと思いますし、胸を張って日本に帰りたいと思います。今週いろんなプロレスの大会あると思いますけども、新日本プロレスを超えることができるなら超えてみなさい。ありがとうございました」
参考:新日本プロレス
棚橋選手からもオカダ選手は一人だけ次元の違うところにいると言ったが、それは言い得ている。
新日本プロレスのオカダ・カズチカでない。
オカダ・カズチカがいる団体が新日本プロレス。
それくらいオカダ選手はレベルが違うところにある。
世界が認めるオカダ選手の圧倒的な才能に、意思や覚悟があるのだから止められるわけがない。
圧倒的な才能を持った人が今の新日本プロレスのリーダー。これはまさに、故スティーブ・ジョブズのようだ。
オカダ選手のような才能でプロレス界に影響を与えることが出来る人は限られている。
相手の長所・短所を理解してそれを伸ばすのが内藤哲也
相手の長所・短所を理解して、それを伸ばすのが内藤哲也のリーダー像だ。
まずはLos Ingobernables de Japónの成功が上げられる。
2015年のLos Ingobernables de Japón発足以降、EVIL、BUSHI、SANADA、高橋ヒロム、鷹木信悟と今では新日本プロレスでなくてはならない存在になった。
それは内藤選手のリーダーシップがあったからこそだと考えている。
たしかにLos Ingobernables de Japónの実施リーダーは内藤選手だが、内藤のユニットではないということを常に発信してきた。
これにより興行毎に各選手にスポットを当てることが可能になる。
次にユニット内のメンバーを輝かせることに成功すると、2017年以降はLos Ingobernables de Japónだけでなく、他の選手にもスポットが当たるように動く。
インターコンチのベルトを保持しながら、マイケル・エルガン、ジュース・ロビンソン、タイチと勝負を繰り広げただけでなく、各選手の内面のキャラクターの部分も引き出した。
確かにオカダ選手も試合の中で相手の良さを引き出してくれる。ただ内藤選手はプラスアルファとして選手を応援したくなるような部分を引き出してくれる。
常に内藤選手が「ベルト以上の輝きを放っている存在」と言っているが、むしろ絡んでいけば内藤選手によって輝かせてくれる。
そういうタイプのリーダーが内藤哲也なのだ。
散々オカダ選手と内藤選手のリーダー像の違いを書いてきたが、どちらが良いリーダーというわけではない。
どちらのリーダーが正しいか?というわけではない。
下に付く人間やプロジェクトのフェーズなど状況によって適任なリーダーは変わる。
今の新日本プロレスは2人のリーダーがIWGPヘビーとIWGPインターコンチという二軸で進めているため、うまく機能しているのだろう。
お互いのチャンピオンが特に越権行為をせずに2016年~2018年は回っていた。
ただ今一人のリーダーがインターコンチの王者がIWGPヘビー王者に当回しに宣戦布告をしている。
これに対してオカダ選手はまだ何もアクションを起こしていない。しかしG1 Climax29以降に二人のリーダーが急接近することもあり得るだろう。