10.14 KING OF PRO-WRESTLINGで行われた鈴木みのるvs獣神サンダー・ライガーについて残しておきたいと思う。
大方の希望と予想通り、対ヘビー級仕様の「バトルライガー」で登場した。
バトルライガーの予想については↓の記事を読んでいただければと。
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試合の結果は鈴木選手がライガー選手に快勝して幕を閉じた。
確かにライガー選手に身体は年齢を感じさせないぐらいビルドアップされているし、パワーは申し分ないだろう。
ただスピードとスタミナ面で鈴木選手に及ばなかった。
試合が進めば進むほどその差は顕著に出てきており、最後は圧倒的な差を見せつけられて鈴木選手のゴッチ式パイルドライバーで沈んだ。
直前にIWGPヘビー級選手権試合でメインイベントを務めるだけの男は違う。
そして最後の最後にプロレスファンを熱くさせることが起こったのは既にご存知だろう。
最後の『座礼』は”感謝”と辞め行く人への”花道を作る”。
最後に鈴木選手はリングの上で『座礼』をして感謝の表すのである。
座礼。小〜中学校で8年間、剣道をやっていた。16からレスリングで19からプロレス。闘う前と闘った後はこれまで毎日してきた。武道と格闘技の心。オレの一面であると同時にオレの基礎。
— 鈴木みのる (@suzuki_D_minoru) October 14, 2019
鈴木選手からしたら、武道をするものからしたら基本のキであるというツイートがあった。
またリングアナウンサーの田中ケロさんも同様の意見だ。
道場での合同練習も、会場での試合前合同練習も、終わったらリング上で、全員正座。
「黙想」
「黙想やめ。正面に向かって、礼」
全員「ありがとうございました」
「お互いに向かって 礼」
それぞれ向かいあい、礼をし、
全員「ありがとうございました」自分が知ってる新日本プロレスの光景です
— 田中ケロ@リングアナ (@tanaka_kero_mg) October 15, 2019
ただ今回の座礼はそれ以上にライガー選手にへ感謝と辞める人のために花道を作るように見えた。
まず感謝というのは鈴木選手がプロレスに戻るきっかけを作ってくれたことだ。
過去パンクラスで勝てなくなり引退を考えていた鈴木選手だが、そこに手を差し伸べてくれたライガー選手。
17年前の試合にきっかけでプロレスの世界に戻ることができ、結果、食っていけるようになったわけだ。
プラスして新日本プロレス入門から現在までプロレスというものを守ったことに対しての感謝だと私は考えている。
鈴木「獣神サンダー・ライガーよ……。おまえが俺に勝てるわけねえじゃんかよ。もう限界ですって言って辞めていくヤツ。先頭走ってるヤツに。おまえが何をもってしたって勝てるわけないじゃないか。俺は……俺とアイツの17年、いやいやいや、32年、32年の、男のケジメよ」
出典:新日本プロレス
そしてもう一つは辞める人への花道を作ることだろう。
自分も格闘技をやめる時に死に場所を選べないことに辛い経験をしているのだ。
「あの時は、自分が情けなかったね。その前は、DEEPのリングでUWFの後輩である田村潔司と闘うという話もあったんだけど、それも流れて。勝てなくなったヤツには、自分の“死に場所”すら選べないんだなって」
出典:Number
「プロレス王に負けて引退」という最高の「死に場所」の提供、これこそが今回のシングルマッチの意図なんだろうと私は考えている。
ライガーは再戦を希望しているが実現するこはないだろう。引導を渡された人は去らなければならない。
試合後にライガー選手は以下のコメントを残してる。
ライガー「(※ヒザに手を突いて、しばし息を整えて)今日は負けた! まだまだシングル組めや。ただ、最後のコメント、ここまで俺をブチ切れさせたのは、近年まれに見る。アイツぐらいじゃないか、ここ何年かで。ここまで俺の怒り、頂点にブチ切れさせたのは。そのことに対して『ありがとう』だ。他に何の他意もない。今日は負けた! 負けたよ! 次、組め! すぐに組め! どこでもいい、組め! 俺は諦めん。1.4まであと約3ヵ月ある。諦めない。諦めない。ただ今日は、『ありがとう』だ。残り3ヵ月、怒りMAX、頂点でリングに上がるよ。そういう気持ちにさせてくれて……『ありがとう』。次やった時は、ただじゃおかねぇぞ。なめんなよ! 以上です。
……負けた人間なんだ、何の質問もねぇだろう。俺が言いたいのはそれだけ。これでおわりにしたくない。引退までの通過点にしたくない。レスラーってのは負けたら根に持つんだ。絶対仕返ししてやる! シングルまた組め、シングルで。新日本プロレス! 俺と鈴木のシングル組め! どこでもいつでもいいから。何回も言うが、とりあえず今日は『ありがとう』。以上!」出典:新日本プロレス
先にも言ったが、去り行く人間には死に場所を選ぶ権利はない。
完全にライガー選手に引導を渡した鈴木選手は、この挑戦表明には答えないだろう。
両国国技館という最高の舞台でシングルマッチし、二人の物語に終止符を打ったのだ。
17年前の約束は果たされたのだし、美学を貫いてキレイに終わらせて終わらせてほしい。数年後に両国大会で鈴木vsライガーの試合で二人の物語が終わってよかったと思える日が来ると思うから。